車選びのポイント

自動車の適正価格

新車の場合は特に問題ありません(全国標準小売価格が設定されている)が、中古車はその商品の性質上、意図的・計画的に生産されることは、一般に「ナンバー落ち」と呼ばれている車を除いてはほとんどありません。いわば、「鉄スクラップ」と同じような【発生品】です。
 中古車はたとえ同じメーカー・車種・年式・グレードであっても、その使用状況によって商品品質が一定でないことが大きな特徴です。また、「年式落ち」「月落ち」といった形で、毎月少しづつ価格をさげていきます。
 現在までに発売された自動車の種類はたくさんあります。同じ車であっても、色が違っていたり装備品が違っていたりします。中古車の販売価格に影響するものとしては、同一年式・車種の場合「グレード」「装備品」「色」「シフト」「修復暦」「走行距離」などが上げられます。これらの要素が加わるため、中古車の価格に違いがでてくるのです。
 新車の場合ですと、「カタログ」や「価格表」が備え付けられているので、容易に商品の品質確認ができますが、中古車の場合、その販売店が表示する情報をもとに選択していくことになりますので、これらの表示が正確でなかった場合、トラブルが発生することになります。
 ですから、購入する自動車の商品価値をしっかり把握することが大切です。

修復暦車(事故車)について

ユーザーがイメージしている「事故車」と中古車販売業界の商慣習として定着している「事故車」の定義とに大きな食い違いがあります。
 修復暦の基本的な考え方は、「車体部(主に内側)の骨格部分の損傷により、部位交換あるいは修正・補修したもの」です。表面(外側)の車体部で骨格を除いた部位の損傷により部位交換したものは修復暦とはなりません。
 ですから、修復された部位によっては、事故の度合い、個所により修復暦に「該当する場合」と「該当しない場合」があります。

走行距離について

現在、走行メーターの改ざん(巻き戻し)が大きな問題になっています。ユーザーにとって走行距離数は商品の重要な購入判断要素です。中古車の品質表示における走行距離表示は、走行メーターのキロ数を必ず表示する事になっています。ただし、メーター数に疑いがある場合は、メーターのキロ数は表示せず「?」マークのみを表示し、「推定距離数」または「推定不明」のどちらかを付記する事になっています。
 「走行距離の少ない車」=良質な車でしょうか?通勤等で毎日乗る人は車が必需品です。日頃から車の手入れ、整備には気を配っているはずです。そういった意味では、多走行車でも「良質車」はたくさんあります。
 近年は余暇の増加や高速道路網の発達によって走行距離は増加傾向にあり、多く走ることは当たり前の時代になってきています。年数が経てば、それなりの距離が出るのは普通です。

相場と著しく値段の違う車に要注意!

近年は、自動車の板金修理技術も発達しており、たとえ修復暦があったとしても車の性能が損なわれることはありませんし、自動車の性能そのものが向上しており、多走行車であってもすぐに壊れるというものではありません。しかし、中古車は【ディスカウント商品】ではありません。市場で取り引きされる「流通相場」のある商品なので、著しく流通相場と値段が違うものは要注意です。販売店で格安な値段が付けてある車は、それなりに訳があるものです。訳も無く安い中古車はありえません。
 修復暦がある旨が表示されていて、その状態についても説明があるものなら構いませんが、表示も説明もない商品は購入すべきではありません。しかし、その販売店が表示する情報をもとにしか判断しにくいのが実状ですので、格安車を購入するときはよく説明を受けるべきでしょう。
 走行距離の表示に「?」マークが付記されている場合は、走行メーターの表示が実際の走行距離と一致しているかどうか疑問があるということです。しかし、販売店自らメーターを操作した上で「?」マークを付記して販売したとすればそれは大きな問題です。自らメーターを操作したのですから、実際の走行距離とメーターの表示に違いがあることを明確に知っている訳ですから、にもかかわらず「?」を付記するだけなのは、明らかに「騙そう」とする意志があったとして民事上及び刑事上の【詐欺】に問われます。走行距離の表示に「?」マークの付いている商品は、その車の仕入れ時点の走行距離に関する書類(整備記録簿等)を提示してもらうなどして、よく説明を求めましょう。